2019年4月29日
全日本柔道選手権大会
日本武道館で行われている「平成31年度全日本柔道選手権大会」に指導している選手が2名出場しました。2回戦敗退と3回戦敗退でしたが、本当に素晴らしい戦いを見せてくれました。それぞれ、九州柔道選手権優勝者とリオデジャネイロ銀メダリストに敗退しましたが、体重差が30~40kgもあるのにも関わらず、見事な戦いっぷりでした。
この内、1名の選手は、今大会を以って、選手を引退し、今後はコーチとして後進の育成をする立場となります。ここで、ちょいとその引退する彼の話を。彼を指導し始めたのが、2016年の6月からでした。それまで、彼は私の担当ではなかったので、会っても軽く話す程度の関係でした。彼は過去に膝に大きな怪我を何度もしており、リハビリ等を繰り返し行っていましたが、それが全く合っていなく、調整も上手くいっていない様子でした。ただ、彼の取り組む姿勢は、傍から見てもとても真面目で、ひたむきに頑張る魅力ある人物でした。もし、私が担当するならばこうするのにという想いがあり、コーチの方に彼の取り巻くトレーニング環境を聞き、その後相談を受け、彼の担当は私に代わることになりました。それから、あらゆる事を見直し、東京オリンピックで金メダル獲得という目標を掲げ目指し、共に歩んだ約3年間でした。結果的に途中で諦める形とはなってしまいましたが、彼の勝負強さは特筆すべき点でした。
時に発した彼のオーラから“鬼”を感じ、その鬼を纏った彼が決勝戦で為す術もなく負けてしまった時などは、正直、何て残酷な競技なんだろうと私自身が打ちのめされてしまいました。しかし、彼は諦めることなく何度も何度も立ち上がり、挑み続けました。その姿に感銘を受け、私自身も最善を尽くしてサポートし、最終的に私の成長にも繋がりました。
間違いなく彼との出会いは、私にとって大きな財産となりました。彼は自身が経験してきた事を存分に活かし、立派なコーチになるでしょう。彼の今後の活躍を心の底から祈っていますし、とても楽しみしています。
全ての競技において、日本代表になるという事はとても大変な事ですが、その中でも柔道という競技は、特に厳しい競技だと思います。選手が挑み続ける以上、私も挑み続け、期待に応えられるように最善を尽くし続けます。